1938年10月30日のこの日、アメリカのCBSネットワークにおいて「マーキュリー劇場」という番組が放送された。
それは臨時ニュースとして放送され、最初にアナウンサーが天気予報で原因不明の気象条件を伝えるところから始まったという。
その原因不明の気象条件とは、謎の物体がニュージャージー州で落下したというものだった。
次第に放送は緊迫さを増し、人々はラジオの前で凍りつくことになる。
その実況放送が突然、聞こえてきたのである。
「プリンストンから緊急ニュースです!
ただいまニュージャージー州トレントンからあった発表によりますと、今日午後8時50分に、隕石と思われる巨大な炎に包まれた物体がトレントンから20マイルのグローバーズ・ミル付近の農場に落下しました!」
その後(火星人襲来?)
「放送をお聞きの皆様、動きがありました!」
「物体の底の部分が開き始めました。」
「たった今、物体の端がはずれようとしています。頂上部がまるでネジのように回転し始めました。」
レポーター役のフランク・リディックの実況は真に迫っていた。
彼は前年に起こったヒンデンブルク号の事故を泣きながら実況したハーブ・モリソンを真似て、それを中継し、その恐ろしさを『宇宙戦争』で再現していた。
「大変です。みなさん、大変です。内部から何かが、何かが出てきました。怪物です。何かを持っています。拳銃のようなものです。光線のような物が出ています。近づいた人に当たり、炎があがりました」
「悲鳴です。炎が・・・車に燃え広がりました!!」
番組の冒頭から聴いていなかったラジオの聴視者は火星人が侵略してきたと本気で信じてしまった。その数は120から130万人と言われている。
実際に謎の物体が落下したと放送されたグローヴァーズ・ミルズでは、猟銃を持った市民たちが火星人から町を守るためにグループが結成され、火星人と間違えられた風車が発砲されてしまうという事件が起こる。
さらに、聴視者からは「世界の終わりか?」といった問い合わせが殺到し、異変に気づいたラジオ局は何度も「これはドラマです」という注意を促したが、聴視者の多くはラジオ局の否定をも無視して家から飛び出し、車に飛び乗り逃げ始めた。
抗議の電話でCBSの電話回線が落ちたことも、さらにそれを煽る結果となってしまった。
また、同時期のヨーロッパでは、ナチス・ドイツと欧米列強が緊張関係にあり、アメリカ国民の間でもヨーロッパで戦争が勃発して自国も巻き込まれるかもしれないという懸念が膨らみつつあった。このため、火星人による襲撃をドイツ軍による攻撃と勘違いした住民も多かったという。
ナゾカレンダー記事抜粋 詳細リンク